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2007年11月10日

あこがれのわたぼうし

 今日10日(土)は、月に一度の「お楽しみ会」の日。当院に併設しているわたぼうし病児保育室の行事です。今回も多くのご家族が訪れて、保育士といっしょに楽しい時間を過ごせたようです。(私は診療中で、顔をのぞかすことができませんでした)

 当院には専任の保育士が全部で7名いますが、これだけのスタッフがいる小児科医院もまずないでしょう。保育士にとってもその専門性をいかす良いチャンスにもなっています。

 子どもたちが病児保育室を利用するのは、文字通り病気になった時だけ。具合の良い時は、普通に保育園や幼稚園に通っています。

 自分で言うのもおかしいかもしれませんが、わたぼうし病児保育室はけっこう子どもたちにとって「あこがれ」なんですよ。「今日は熱があるからわたぼうしだよ」と親に言われると喜んでやってくる子もいます。きょうだいのうちで下の子だけ体調が悪くて利用するような時、上の子が「いいな、わたしも風邪をひきたい!」と言う子もいます。

 病気になることを願うってヘンですが、でもそれだけわたぼうし病児保育室に対して子どもたちが信頼をしてくれているのだと思うと、嬉しいことです。病気になった時に、しっかりと支えてあげられているのだと思います。

 でもそれだけではありません。子どもたちにとって、本当に楽しい場になっているようなのです。けっして自慢話をしているつもりはないのですが、保育士の子どもたちに対する対応を見ていると、温かい心づかいが子どもたちの心をいやしているのだろう、と想像しています。

 利用する人数はその日によって違いますが、平均では8人前後。子ども2人に対して保育士1名というのが、厚生労働省の求めている基準です。このスタッフ数は、普通の保育園に比べると、そうとう多くなっています。(保育園では0歳児 :3名に保育士1名、1、2歳児 :6名に保育士1名、3歳児 :20名に保育士1名、4、5歳児 :30名に保育士1名)

 年齢によっても違いますが、一番利用の多い1歳でみると、普通の保育園の3倍のスタッフ数がいることになります。つまり、それだけ「濃厚な保育」が可能です。

 子どもにとっては、丁寧に関わってくれる保育士がいる、ということはとても嬉しいことに違いありません。まして、病気になって心身ともに具合が悪い時ですからなおさらです。

 わたぼうし病児保育室が、親御さんにとっての施設であるとともに、子どもたちにとってもとても大切な存在になってきていると思っています。病気を治すという点でもそうですが、わたぼうし病児保育室を利用する中できっと心も豊かに育っていくことでしょう。

 人が優しくなれるのは、他の人から優しくされたことがあるから。人を愛せるのは、他の人からたっぷり愛されたことがあるから。小さな時から優しくされ、愛されることをいっぱい経験することで、心豊かな大人に育っていくことでしょう。

 人格を育てる大切なお手伝いを、わたぼうし病児保育室の保育士が関わっていると思うと、その仕事のやりがいもいっそう大きなものになることでしょう。

投稿者 tsukada : 2007年11月10日 23:59