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2007年05月21日

日韓差

 このところ麻疹(ましか)がマスコミに取り上げられることが多いのですが、地元の「新潟日報」今日の夕刊に「韓国はしかゼロ」の大きなタイトルが踊っていました。

 見出し部分だけをひろっています。「集団発生の日本尻目に」「患者全例把握 ワクチン接種 国家計画が奏功」「年数千人も 日本」とあります。

 かつては日本と同じ程度に流行していた韓国。2000〜2001年にかけて55,000人が発症する大流行があり、7人が死亡したそうです。それを機に5年で流行をゼロにする国家計画を策定。

 そしてタイトルにあるとおり、全例の麻疹発生を報告させ、ワクチンを小学校にあがるまでに確実に2回接種させるなどの対策に“本気で”取り組みました。そうとうの国家予算と人員を費やしたことでしょう。そして、昨年末、とうとう「発生ゼロ」を達成しました。

 日本も同時期、大きな流行がありました。それにも関わらず、また同じことを繰り返しています。どうしてなんでしょう。何が違うのでしょうか。

 日本でも昨年から「2回接種」の制度が作られましたが、小児科医が中心となって提言し、やっと国が動きました。でも、まだ2回目の接種率は低迷しています。今小学2年生以上の子どもや成人については、ワクチン接種もせず、“放置”のままで、対策はなし。

 麻疹患者の発生数も、行政から選任された一部の病医院からだけの報告。全ての麻疹患者を把握し、流行に対して機敏に対応できるうような体制ではありません。

 その結果、日本では今でも年に数千人の麻疹患者が発生し、一桁ではすまない死亡がでています。少なくない大学で休講になるなど、社会の混乱を引き起こしているのは、ご承知の通りです。

 お隣である韓国と同じスタートラインにいながら、数年で雲泥の差がついてしまいました。この事実を、しっかりと受け止めてください。

 休講などの対応で、目立った流行は収まるかもしれません。しかし、抜本的な対策をとらない限り、数年先にまた同じような流行をおこしてしまうだろうことは、火を見るより明らかではないでしょうか。

 日本を政治や行政の貧しさが、ここに端的に表れているようにも思うのです。

 韓国との比較で驚いたと書きました。実はもっと驚愕することがありました。先週土曜、アメリカのワクチン事情についての講演会があり、アメリカが麻疹以外にも多くの感染症に対して、とても真剣に取り組んでいる様子を知ったのです。

 予防接種をめぐる「日米差」については、また明日以降の「院長ブログ」に書きたいと思います。

投稿者 tsukada : 2007年05月21日 22:27