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2007年03月09日

ポストの数ほど

 先日、ある病院の勉強会に呼ばれて講師をしてきた話は先日の「院長ブログ」に書きました。定期的に行っている職員の自主的な勉強会だそうで、医師、看護師など、多くの方にご参加いただきました。

 私のテーマは「病児保育」について。2000年から始めたわたぼうし病児保育室のことを、その経過、現状、目指すものなどについて話をしてきました。

 他で行っている病後児保育室を利用された方もおられて、わたぼうし病児保育室の運営について、興味深く聞いておられました。多くの施設では、病気の回復期の「病後児」を対象としていますので、急な発熱などで病状が安定していない時には、利用できないこともあります。

 わたぼうし病児保育室は、そんな急性期の病児もお預かりしています。「急病」の時こそ、病児保育の必要性が高く、出番なのです。わたぼうし病児保育室の利用数が全国トップレベルであることを見ていただければ、その理由がよく分かっていただけることでしょう。

 「申し込みは絶対に断らない」もわたぼうし病児保育室のモットーです。そのために保育士をふだんから多く配置していますし、「認可外外保育施設」の認定を県から受け、体制もそうとう大きく作っています。人手が足りない時には、医院のスタッフも総動員するくらいのつもりで運営しています。

 いまだ行政からの補助を受けることができず、年間1,000万円超の赤字を出しながらの運営は、正直にいってきついです。でも、やりがいのある事業ですし、とても必要性の高い子育て支援だと思っています。

 折しも、わたぼうし病児保育室の会員登録更新をお願いしています(年度ごとに登録)。次の年度も利用を希望される方は書類を沿えて申し込んでもらっていますが、そのレスポンスは予想以上に早く、職員がビックリするほどです。多くの皆さんに必要とされ、大切にされていることを実感し、とても嬉しく思っています。

 「わたぼうし」と名付けたのは、このような病児保育室が全国各地に多くできてくることを願ったからです。できれば、かかりつけの小児科医院には必ず病児保育室が付属されているくらいになるといいな、などとも思っています。

 昔、「ポストの数ほど保育所を」という運動がありました。戦後の混乱期から高度成長期にかけて、子どもたちの良い育ちを願う運動でした。それがある程度達成された今、これからは「小児科医院の数ほど病児保育室を」などというスローガンで運動していく・・そんなふうにも思ってみたのですが、いかがでしょう。

 もっとも、肝心の小児科医が少なくなっている現状では、先に小児医療の確保が必要かもしれません。難しい世の中ですね。

投稿者 tsukada : 2007年03月09日 20:23