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2007年02月07日

拝啓 柳沢大臣さま

 この方はまたやってしまいました。どうも放言癖があるのでしょうか。

 柳沢厚生労働大臣の発言です。今後の少子化対策への取り組みについて「若い人たちは、結婚したい、子どもを2人以上持ちたいという極めて健全な状況にいる」と。

 さっそく、「一人しか子どもがいない人や、子どもができない人は不健全なのか!?」と言った反発がでています。そう言いたくもなるでしょう、つい先日、女性を「産む機械」と言ってしまった方なのですから。

 前後の文脈を読んでもらえれば、不適切なものではないと本人は言っていますが、どうなんでしょう。政治家はある意味で言葉が命です。その発言が、さまざまな影響を与えます。マスコミに取り上げられ、国民の中で語り伝えられていくものです。

 悪意ある取り上げ方もときにはあるでしょうが、そうだからこそ、よけいに気をつけて発言する必要があります。

 逆に、マスコミや国民をうまく使って、自らの政策や主義をプロパガンダする政治家もいます。「ワンフレーズ・ポリティックス」と言われた小泉・前首相は、その才能に長けていました。政策に反対する人たちを全て「反対勢力」と言ってしまうことで、その人たちがそれぞれもっている意見や批判を封じ込めてしまったわけですから、考えによっては恐ろしいことです。

 柳沢大臣の言葉を、揚げ足取りするかのように、批判だけするのはあまり好ましいことではないと思います。中身の議論ができなくなってしまうからです。

 でも、やっぱり発言には気をつけましょう。他者への思いやりと丁寧さをもっていれば、こういった誤解を与える表現はできないはずなのですが。

 実は私たち小児科医も、けっこうこういったことをしているのです。健診の場面で、小柄な子どもに「小さいね」と言ってしまうと、お母さんを傷つけてしまいます。お母さんの気持ちを思えば、例えば「平均に比べれば小柄だけど、順調に発育しているから大丈夫ですよ」とお話ししてあげてほしいです。

 発達の段階はけっこう個人差があります。生後6〜7か月でお座りがまだできない赤ちゃんに対して「まだできない」と言い捨てず、「もう少しだね」というような言い方をしてあげたらどうでしょう。

 基本は、苦労をしながら子育てをしているお母さん方に、思いを寄せてあげられるかどうか、なのだと思います。寄り添うことができれば、言葉かけは自然と変わってきます。

 柳沢大臣。ぜひ、若い世代の人たちに、そして子どもたちに、思いを寄せてください。寄り添ってください。きっと言葉かけも変わることでしょう。あなたは、そんなに悪い人ではないように思っていますよ。

投稿者 tsukada : 2007年02月07日 18:52