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2007年01月29日

「女性は子どもを生む機械」なのだそうです

 日本の少子化傾向が止まりません。先進国はどこもこの問題を抱えているといわれていますが、日本は突出しているようです。合計特殊出生率(おおむね一人の女性が生涯に生む子どもの数)は日本は過去最低の1.25になり(2005年)、下落傾向は止まっていません。

 日本より少ないのは韓国くらい。そのほかの先進国ではそれほどの傾向ではなく、フランスのように2.005と「2」を上回っているところもでてきました。こういった国では、女性が職業を持ちながら、出産や育児にもしっかり取り組めるような対策がきちんととられているようです。

 昨日の「読売新聞」には、そのフランスのことがレポートされています。月に30万円ほどの産休手当があり、必要に応じて時間を短縮した勤務ができ、お手伝いさんを雇う際の補助もあります。国や企業から手厚く支援され、「仕事の子育ての両立」がうまくできていることが、フランスを“ベビー・ブーム”にしているようです。

 女性が子どもを育てながら働きつづけられれば、労働力不足を解消することにもなります。何より、女性の生き方として、職業を持ち、社会の中で仕事を続けることが、生き甲斐になり、社会全体を活性化させるために大きな役割を果たすでしょう。

 日本が少子化傾向を重大視し、それなりの対策をとってきました。でも、どこか不十分。中途半端で、何かが足りません。児童手当など、子どもを育てるために補助をしていますが、その金額も十分とはいえないようです。働き続けられるようにと、育児休暇や看護・介護休暇制度は作られていますが、労働環境を変えていないので、十分に活用できないままでいます。「絵に描いた餅」です。

 何より、女性にとって仕事を続けることをどうとらえるかという点では、まだまだ考え方は古いと言わざるをえません。「女性は家の中に」「結婚したら退職」。こういった性別による差別は根深いものがあります。

 政府は新たに「少子化対策戦略会議」を設置するそうです。そこで少子化対策の総合的な戦略をたてるのだとか。すでに10年くらい前からエンゼルプランなどの少子化対策や子育て支援を作ってきていますが、その上になお新たな「戦略会議」を作らなくてはいけないということは、これまでの対策が功を奏していないからです。

 この「戦略会議」でもとくに目新しいものはないように思います。むしろ「地域や家族の再生」などの言葉を見かけると、女性は早く結婚し、仕事をせずに子作りと子育てに励め、などという意見が出てきそうで、いやな感じをもっています。

 おりしも子育て支援や労働環境の担当である柳沢厚生労働大臣が、「女性は子どもを産む機械」と言ってのけてしまいました。本人はその不適切さにすぐ気づき、その場で訂正したといっていますが、そうだとしても、普段からそう思っていなければこんな言葉はでてこないものです。むしろ、根本的なものの考え方が、とくに女性に対して封建的であり、差別的であることを暴露しているようなもの。しかし、彼だけが特別なのではなく、おそらくこれが大方の為政者の考え方を代表しているのでしょうね。

 この大臣は年金の担当。少子高齢化で将来の年金財政が大変になるようです。もしかしたら年金の問題があっての発言だったのかもしれません。つまり、少子化対策とは、多くなるお年寄りを支えるために子どもの数を増やすことが主眼なのですね。「少子化対策」の意味合いを、だんだんと分かってきました。

 日本は目先のことしか考えられない、情けない国です。本当の意味での「男女同権」「子育て支援」「少子化対策」は、実現までまだまだ茨の道が続くことでしょう。

投稿者 tsukada : 2007年01月29日 23:26