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2007年01月26日

同情できなくなりました

 「納豆ダイエット」を紹介した番組が、ねつ造されたデータによる偏った内容だったことは、いろんな問題を引き起こしています。納豆そのものは何も悪くないのに、どうも納豆も悪者にされかねない様子を見ていると、納豆好きの私にとっては心が痛みます。

 数日前、この「院長ブログ」に、納豆の業界も被害者だと書きましたが、そのあたりも雲行きが怪しくなってきました。今回の“ねつ造番組”を作ることに荷担したわけではなく、番組についての責任があるということではありません。

 番組で納豆を話題にすることを、昨年のうちに納豆業界には先に知らされていたようなのです。一般の方には、当日の番組の中で、ダイエットに関係している食品が納豆のことであることが初めて明かされました。事前のお知らせの中にも、当日の新聞のテレビ欄にも「食品X」とされていたものです。

 納豆業界や流通業界は、かなり詳細な内容を知っていたというのです。番組で紹介された納豆の「正しい食べ方」についてもそうです。番組で取り上げられれば消費が大幅に増えることは十分予想され、業界ではその対応を先にしていたのだとか。

 あるスーパーでは、納豆を新年の特価セールの対象から急きょはずしたという報道もあります。その後に、黙っていてもたくさん売れる物を、先に安く売ってしまう手はないということです。このあたりは、「インサイダー取引」の臭いもしてきます(法的な問題はないのでしょうが、モラルの問題はありそうです)。

 業界にとっては、番組後にいっぱい売れたのは「想定内」だったでしょうが、その売れ方がめちゃくちゃで、売る納豆がなくなってしまうほどだったのは「想定外」だったに違いありません。それが、納豆に対するイメージダウンになりかねないとしたら、皮肉な話でした。

 そんな顛末を知ると、納豆業界に対して持った同情する気持ちが萎えてきました。なんだ、あのテレビ番組を作った人たちと同じことをしてるんじゃないか、と。

 もちろん、納豆を製造している業者さんの全てが悪いことをしたというつもりはありません。同業組合の一部の人や組織だけの問題だった可能性もあります。零細な業者さんが大変なトラブルに巻き込まれているとしたら、本当にお気の毒なことです。

 それにしても、最も大きな問題があるのは、データのねつ造までして番組を作ったテレビ局ですし、それを点検せず、そのまま垂れ流していたキー放送局です。一連の経過については、まだ解明が十分にされたとはいえません。

 他人や他の業界などの黒い部分には熱心に取材し、報道するマスコミです。それなのに、自分のところでおきたことは真っ黒な闇のままにしておくつもりでしょうか。身内に甘いのは、人の世の常なんですね。困ったものです。

投稿者 tsukada : 2007年01月26日 23:57