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2006年10月22日

生活に困った理由とは

 先日、当地の郵便局でお客さんから預かったお金を横領したということで職員が懲戒免職になりました。その額は20万円ほどですし、ローカルな話なので、新潟県内でニュースになっただけでしょう(私の家から歩いて数分のところにある郵便局なので、個人的にはニュース性が高いのですが)。

 世の中、数千万とか億の単位での横領が銀行などではおきていますので、けっして多い額ではありません(もちろん、少ないから許されるわけでもありませんが)。こういった事件は、ギャンブルや先物取引にはまってしまったために起きてしまうことが多いようです。

 でも、この職員は「生活に困った」というのが動機とのこと。なんとも小さな話です。安定した身分で、そこそこの給料はもらえているわけですから、まじめに働いていれば、それくらいのお金は何とかなるのだとおもうのですが。彼は職も、収入も、退職金もすべてを失うことになったわけですから、邪悪な考えは持つものではありません。

 ふつうはこれで話が終わるのですが、実はこの先が問題です。生活に困った理由がヘンなのです。3年ほど前から、郵便局の宿舎(アパート)の管理をしているのだそうですが、そのアパートの全世帯の水道代、電気代、町内会費を全部自分で負担していたのだというのです。その額がトータルで280万円ほど。

 本来は一軒ずつ回ってそれらを徴収しなくてはいけないのだければ、それが面倒で、自分の財布の中から出していたのだというのです。にわかには信じられない事実です。

 それが本当だとしたら、問題にすべきは彼の個人的な性格や行動ではなく、宿舎の他の人たちや宿舎の管理に責任を持つ人たちでしょう。数年間も電気代などをおさめていなかったわけです。それに気づかないということは、考えにくいですよね。知っていたけれど、そのままにしておいた・・。それが真相なのでしょうか。

 問題になった郵便局の責任者が会見の中で言っていました。彼は内気な性格で、人に会うのが苦手なのだと。同じアパートの住人にあってお金をもらってくるのもイヤで、それをするなら自分のポケットマネーから出した方がいいと思ったのかもしれない、とも。

 ずいぶんな見方ですね。アパートは郵便局の人たちが入っているので、同僚です。顔見知りの人たちに会って話ができないのなら、郵便局の窓口で接客するのは、もっとつらくて苦しい毎日を送っていたことでしょう。それを気づいてあげられなかったとしてら、同じ職場の同僚や上司の人たちは、いったい彼のことをどんなふうに思って一緒に仕事をしていたのでしょうか。よく理解できません。

 彼がお客さんから預かったお金に手を出したから発覚しましたが、そうでなければずっとそのままになっていたのでしょうか。彼が犯罪を犯す前に、誰かが気づき、声を出し、問題を解決することができなかったのでしょうか。そこに、人として生きていく大切なものがあるように思うのですが。

 この事件、私のすぐ近くでおきたということもありますが、気になって仕方ありません。今の日本は、一人ひとりにモラルを求めるのは、もう無理な社会なのでしょうか。まだまだ、信じていたいのですが・・、

投稿者 tsukada : 2006年10月22日 21:06