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2006年08月04日

読売新聞社説と病児保育

 今日の読売新聞をご覧になりましたか? 新聞自体もあまり読まれなくなっているようですし、まして「社説」となればよけいでしょう。

 そこでは「病児保育」のことが詳しくとりあげられています。今の日本の子育て支援として、もっと真剣に取り組んでみるべきだという主張です。

 すでにご承知のように、当院では5年前に「わたぼうし病児保育室」を併設し、この地域の子育てを強力にサポートしています。残念ながら行政からの補助はなく、その大半の経費を自前で用意していますが、でもこの事業の大切さを身にしみて感じています。

 これまでマスコミで病児保育のことが話題にされることは時々ありました。当院の試みも、何度か取材を受けています。でも、今日の読売新聞のように「社説」に掲げられたのは初めてではないでしょうか。少なくとも私の知る限りではそうです。

 たった一社が取り上げたというなかれ。有数の全国紙の主張として大々的に紙面に載ったということは、それほどこの課題が重要なことであり、病児保育の必要性が高いということ。そして、私どもだけではなく、全国の同じ志をもつ者たちが着実に歩みを進めてきたという実績があるからでもあります。

 今日は、もしかしたら「病児保育」の歴史に残る大きな出来事になるかもしれません。それくらい影響力のあることだと思います。この社説を期に、全国の病児保育の体制が大きく前進することを願っています。(それに比べれば小さなことですが、当院のわたぼうし病児保育室に対する助成を真剣に考えてくれるようになることも、もちろん願っています。)

 参考までに、読売新聞の社説をそのまま転載させていただきます。どうぞお読みになって下さい。

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8月4日付・読売社説(2)
 [病児保育]「充実させたい急場の子育て支援」

 子供が急病でも、親は仕事を休みづらい。そんな時に、子供を預かってくれる「病児保育」を、急場の子育て支援策としても充実すべきではないか。

 政府は、先に決めた「新しい少子化対策」に、病児保育施設の拡充を盛り込んだ。現状は全国に約600か所あるが、2009年度までに1500か所に増やすことを目標にしている。

 施設関係者らが先月、大阪で開いた全国病児保育研究大会の報告では、約9割の施設が赤字だ。施設の拡充に当たっては、経営基盤の改善、強化が大きな課題になる。厚生労働省や自治体の積極的な支援が必要だろう。

 保育所や幼稚園では、感染や容体急変の恐れから、子供が病気の間は預からない。それを補う公的な病児保育室は、1969年、大阪府枚方市で小児科医院に併設されたのが最初だ。94年からは国の事業になり、市町村を実施主体として病児保育施設に運営を委託している。

 対象は小学3年までで、全国で年間18万人が利用している。医療機関や保育所の併設型、自宅への派遣型などがあり、厚労省の基準では、定員4人の施設に看護師、保育士各1人が常駐する。

 04年度までは、国と都道府県、市町村で、1施設当たり年最高660万円の補助金が出ていた。これでも経営は苦しかったが、05年度からは都道府県の負担がなくなり、その分、負担が増えた市町村には補助を減らすところもある。

 利用料は1日500〜8000円と格差がある。赤字のため高額にすれば、利用しにくい。子供の病気は季節で波があり、入所数は安定しない。稼働率が6割程度にとどまることも赤字の原因だ。

 近隣自治体の子供も受け入れれば、稼働率も上がるだろう。財政支援も、利用度に応じて補助を上乗せするなど、実情に即した工夫が必要だ。

 安全面の課題もある。感染症の子供を預かることが多い。病院並みの感染防止対策や、職員の研修が欠かせない。

 医療機関との連携の強化も大事だ。緊急時に指示を仰げる指導医を定め、容体が変われば、すぐに病院に連れていける体制を作るべきだ。

 05年の出生率が唯一上昇した福井県は独自予算で、病児保育施設の県内全市への整備と第3子以降の無料化を進めている。子供の急病時の不安を拭(ぬぐ)えれば、出産の意欲にもつながるのではないか。

 昨春施行の改正育児・介護休業法で子供の看病のために年5日までの看護休暇が認められたが、中小企業やパート社員の間では取得は進んでいない。親が寄り添える休暇への理解も広げたい。

(2006年8月4日 読売新聞)

投稿者 tsukada : 2006年08月04日 23:27