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2006年03月27日

診療報酬の改定

 今週は月末に加えて、年度末の仕事が山のようにたまっています・・院長室においてある仕事用のパソコンの前には、そのための書類が文字通り“山”になってしまって、いまだ収拾がついていない状態です。あと数日で無事新年度を迎えられるのか、自分でも自信がありません(きっと無事ではすまないだろうと思っています)。

 医療機関で“お金”の計算のもとになる「診療報酬」という仕組みが、新年度から変更されるのも、私の混乱のもとになっています。2年に1度改定されることになっていて、2年ごとの恒例行事になってしまっています。

 今回の改定では、基本的な仕組みのいくつかが変わったり、多くの点数(金額)が変更されます。単純な料金の変更だけであれば、医療事務用の専用コンピューターが自動的にやってくれるので、プログラムの変更をきちんとしておけば、さほど問題はありません(そのための費用はそうとうかかるのですが)。

 問題は仕組みの変更です。厚生労働省からの通知が2月下旬に公表されましたが、これが実に分かりづらい日本語。間違いのないように書かれているのでしょうが、私ですら理解するのがなかなか難しいというのが率直な感想です。それは、いかにも“頭のいい”お役人が書いたと作文のよう。霞ヶ関に住む人たちには、もっと分かりやすく日本語を書く練習をさせて下さい!

 分かりづらくしている要因に、制度の複雑さも大いに関係しています。「原則はこうだ」と書かれていても、実際の現場ではどの規則を、どのように適応すればいいか判断に苦しむことも少なくありません。科によって診療の内容が全く違いますし、さらに患者さんごとにずいぶんと違ってきます。大雑把なとらえ方しかできていないと、実際の診療上ではどうすればいいか分からず、そこでストップしてしまうことも生じかねません。

 具体的な運用例では、どちらの規則を使っていいのかあいまいだったり、規定が不十分だったりすることがよくあります。中には明らかな間違いもあります。そのために、厚生労働省は「この場合にはこうする」というような追加規定を出したり、質問に答える形で解釈を追加したり、ときには訂正することが恒例です。そんなことをしていると、改定が実施されても、それが落ち着くのに数か月かかってしまいます。しばらくは混乱しながらの会計業務になってしまうのです。

 そもそも現場のことを知らずにお役人が規則を作っていることに問題があります。今回の改定でも、ある団体の説明会の資料は数百ページもの雑誌にまとめられていました(改定部分だけで!)。その膨大な規定を無理矢理押しつけようとすることが問題なのです。改定のたびに、複雑さを増していきます。もっとシンプルで、分かりやすい制度にできないものか、いつも嘆いているのが、日本の医療従事者の素直な姿です。

 医療は霞ヶ関の会議室ではなく、現場で起きているのです!・・そんなふうに叫びたくなります。

投稿者 tsukada : 2006年03月27日 23:19

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