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2006年02月15日

天皇と男女平等

 「皇室典範」を読んでみました。これは昭和22年に、現在の日本国憲法といっしょに作られた法律です。明治時代に作られた旧皇室典範は、大日本帝国憲法とともに廃止されています。

 基本的にこれは法律ですので、憲法の下にあります。それを改廃するのは国会で普通の法律と同様にできます。そして、その基本的な考え方は、憲法に則っていなければなりません。

 「男子直系」の原則がその第1条に書かれています(「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。」)。この点が現在問題になっているところです。それが日本の伝統だとする意見がありますし、そのためにこの規定は旧皇室典範から引き継がれてきました。しかし、新しい憲法が高らかに宣言している「男女平等」の精神に一致しないことは明らかです。

 憲法の精神に反することを、下位の法律で規定するわけですから、そこにはそうとうの合理性と必要性がなければなりません。「伝統」という考え方もその1つではあるのでしょが、それだけで果たして十分なのか・・ こういった点についての議論を、戦後60年間きちんとした議論をしてこなかったことが、混乱のもとになっています。

 私は、やはり憲法の規定のとおり、男女の差別はなくすべきだと思います。「男系直系」のままにするのであれば、それを法律上問題にならないように、憲法の規定を変えるくらいのことが必要でしょう。それだけの“覚悟”をもって、議論をしてもらいたいとも思っています。

 男女の性別にかかわらず、その第一子から順に皇位継承をしていきます。ただし、本人の意志もそこには反映されるべきものです。これも憲法の定める「職業選択の自由」という大切な基本的人権です。つまり、皇位を継承する順にはあたっているけれど、自分の判断でそれを辞退することができるようにします。そうすれば、過剰な負担は避けられるのではないかとも思います。(この点は今の皇室典範にも、ある程度の規定がありますが、それをよりハッキリさせておく必要があるでしょう。)

 日本の天皇制度や皇室を維持していくことは、それもまた憲法の定めているところです。しかし、その内容に憲法に反する点があれば、それを直していくことは必要です。いつまでも「男子直系」にこだわる必要はもうないように思います。ぜひしっかりとした議論をしていってほしいです。

投稿者 tsukada : 2006年02月15日 23:29

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