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2005年11月14日

医薬分業の取材

 このところ風邪などが多くなり、小児科外来はけっこうにぎやかになってきました。ここにウイルス性胃腸炎などの流行が加わったら大変です。ましてやインフルエンザの流行がやってきたら、きっとパニックになってしまうかも。今からできる限りの備えをしておかないと・・

 今夜は電話で取材を受けました。毎日新聞本社の方で、医薬分業について調べているのだそうです。厚生労働省が定めている保険点数が、院内と院外の処方であまりに違うので(もちろん院外がとても高く設定されている)、疑問に思われたそうです。

 当院は1990年の開院当初は院外処方でした。しかし数年を経るにつれて、私のやりたい・しなければいけない医療と違う方向に進んでいるという思いが強くなりました。経営的には大変ですが、患者さんのためには院内処方にした方がすっきりするし、喜んでもらえるだろうと考え、医薬分業をやめた経過があります。

 その当時、院内から院外に変更する医療機関が多くなってきた時期ですし、それが「歴史の流れ」だと考えられていましたので、当院の選択は驚きで迎えられました。そして、国の決めている保険点数が院内・院外でかくも違うものかと、その比較表を作成したり、当院の試算表を公表したりと、けっこう全国で騒がれもしたものです。(ちなみに、院内処方にしたことで、当院が関係した医療費が年間で約7,500万円減少することが分かりました。)

 それから10年ほど。当院にとって、あるいは私にとっては院内処方が当たり前になっていますし、院内に変更したときの様子など、もう忘れていました。そこに今日の取材・・ 当時のことをしだいに鮮明に思い出してきました。

 医療費抑制が問題にされる中で、この「ゆがんだ医薬分業」のことも取り上げざるをえなくなるでしょう。何しろ、厚生労働省は医薬分業を推進するために、院内処方の点数を極端に低く、医薬分業の点数を考えられないくらい高く設定してきたのですから。「医薬分業にした方が儲かるよ」と甘い言葉をかけて作ってきた結果が、門前薬局ばかりの現状です。患者さんにとってどんな医療が望ましい、などという内容の議論はどこかに飛んでいっていました。

 近々記事になるそうです。どんな取り上げられ方になるか、楽しみです。(1時間近くも話してしまいましたが、実はもっと取材してほしいのが病児保育のこと。ぜひ次はこっちの方を!とアピールしておきました。)

投稿者 tsukada : 2005年11月14日 23:24

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