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2005年10月20日

政治家としての市長

 昨日の話の続きです。「上越タイムス」の記者の方が取材に来られたのは今週の月曜日。市長選挙が間近にせまっている中で、新しい市長に望むことなどを小児医療・福祉の立場から聞かせてもらいたいというのが趣旨でした。

 時間にして30分弱、いろんなお話をしました。紙面に載ったのは主に2点ですが、それらについてももっと掘り下げて話をしましたし、それ以外にもいくつかのことを指摘しました。それを昨日掲載の文章にまとめたわけですから、記者さんもずいぶんご苦労されたことでしょうね。国語力もなかなかです(もちろんそれが本職であるわけですが)。

 あの文章を読んでいただいて、当市がかかえている問題点はご理解いただけましたか? 同じような状況にいないと、病児保育のことも、乳幼児医療費の助成についても、ピンとはこないかもしれませんね。でも、それらの具体的なことの一つひとつを論じる必要はないのかもしれません。「子育て支援」について、大きく包み込んで考え、取り組むことができればいいのです。その具体策をどうすればいいかという取り組みの段階になったとき、市の中で足りないもの、市民が強く望んでいるもの、そしてそれを実行することが本当に役にたつこと・・そういったものがきちんと把握できてくるのではないかと思います。

 政策は具体性がなければいけませんので、一つひとつのことをどのようにしていくか、はっきりとしてほしいとは思います。でも、「子育て支援」に対する明確な考えと、温かく育てる気持ちがないままに、単なる票ほしさの“セールス・ポイント”として取り上げているのであれば、必ずしも本物の政策にはなっていきません。中途半端に取り組むことで、かえって逆効果になるかもしれません。

 その一つの例が「病児保育」です。当市で行っているのは病気からの回復期の「病後児保育」です。一番必要性が高い急性期の「病児保育」を行うには、小児科医や医療機関との密接な関わりが必要ですし、そのための人員、施設、費用などもより多くかかります。以前は必ずしも運営のノウハウもありませんでした。そうした中で始まった「病後児保育」ですが、一度動き出すと、それが「絶対化」されるのが行政の習性です。見直すことは、なかなかできません。もっと良いものにしていこう、などという考えは、簡単にはでてきません。それが「官」の仕事です。

当院が「病児保育」を始めようとしたとき、市の担当課は「すでに同様の施策がある」「病後児保育の利用もそれほどない(利用されていない)」などとして、市として取り組むつもりがないとしてきました。もしも上越市に病後児保育がなければ、逆に当方の「わたぼうし病児保育室」が公式に認められ、きちんと補助金が交付されるような方向も可能だったかもしれません。市民のニーズを十分に吸収できない「官」の存在が、「民」を脅かしているとも言えるでしょう。

 最近やっと分かってきたのは、こういった「政策」の議論はお役人の仕事ではないということです。それこそが「政治家」の出番。方向をきちんと作りだし、それを立案・調整・実行していくのが、行政官の仕事。そう考えると、政治家としての市長には、本当の意味での政治力が必要です。役所の論理に負けないで、市民の側にたった市政を作り出していける人・・そんなパワーのある人に、市長として活躍していただきたいものです。

投稿者 tsukada : 2005年10月20日 23:31

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