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2005年05月17日

高額納税者

今日の朝刊に、私の名前も載っていました。
「高額納税者」です。
一生懸命働いた結果ですし、納税という「国民の義務」(憲法に書いてあります)をしっかり果たしているわけですから、何のためらいも後ろめたさもないのですが、でも何かすっきりしません。

高額納税者の公示は、ずいぶん昔からある制度なのだとか。
以前は「高額所得者」で、所得の多い人を世間に公表していました。
一般の方に「あそこはあれくらいの所得だ」ということが分かる仕組みです。
逆に、「けっこう儲かっているはずなのに、税金をちゃんと納めていないのはおかしい」などという話もでるかもしれません。
そんな“情報”を税務署が得ることで、税務調査をしやすくし、時には脱税があればそれを摘発することができるという仕組みにもなっています。

つまり、脱税という犯罪を抑止したり、摘発したりするのが、高額の所得者(または納税者)を公表する目的なのです。
そこに違和感がついてまわります。

所得税を納めることは、国を維持していくためには重要なこと。
その額が多ければ多いほど、国に貢献をしていることになります。
それなのに、何か悪いことをしているのではないか、というような目で見られたりするのは、心外です。
マスコミ報道も同じで、あまり大切にされているとは思えません。

国にとって良いことをしているわけですから、感謝されてしかるべきです。
国から表彰されたという話もありませんし、税務署長が表敬のあいさつに来るなどということもありません。
それって、ヘンではないですか?
まるで国が、国民の相互不信をそそのかし、お互いを監視させたりしているようなものです。

この4月からは「個人情報保護法」が施行されました。
医療機関でも、患者さんのプライバシーや個人情報がそとに漏れないよう、細心の注意を払わなくてはいけません。
それなのに、個人の所得税額という、とても重要な個人情報を外部にもらすなんて、違法ではないですか?
個人情報を公表するときには本人の同意が必要です。
税金を納めるときに、高額であれば公表しますがいいですか?などと尋ねられたことはありません。
自分たちが作った法を、国民には守るように強制しておきながら、自分で平気で破るというのは、いったいどういった考えなのでしょう。
それを正当化できる考え方が、どこにあるのでしょう。
早くやめてほしい制度です。

投稿者 tsukada : 2005年05月17日 21:16